日本人の8割が経験する「腰痛」

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、腰痛は日本人に最も多い自覚症状で、男性では1位、女性では2位、男女総合ではトップを占めています。

男女問わず、20代から40代の比較的若い世代でも訴える方が多いですが、特に40代から増え、年齢が高くなるほど腰痛を訴える人が増えていきます。

さらに、日本人の8割以上が生涯に一度は腰痛を経験するとされ、推定患者数は約2,800万〜3,000万人に達します。

腰痛の原因


■長時間の座り仕事

日本人は世界的に見ても平日の座位時間が長いとされており、同じ姿勢が続くことで背中や腰の筋肉が緊張し、血管が圧迫されて血流が悪化する。

■筋力不足と運動不足

腰の周りにある筋力が衰えると、腰椎に負担がかかり、腰痛を引き起こします。

●腸腰筋(ちょうようきん)」:身体の深い場所に位置しており、歩行時の股関節の曲げ伸ばしや体幹の安定など、重要な役割を担っているインナーマッスル。「大腰筋」・「腸骨筋」・「小腰筋」の3つの筋肉の総称です。

①大腰筋(だいようきん):背骨から骨盤を通って太ももの骨へとつながる、上半身と下半身を結ぶ深層のインナーマッスルです。

②腸骨筋(ちょうこつきん): 骨盤の内側から太ももの骨へとつながる、股関節を曲げるために最も重要な筋肉のひとつです。

③小腰筋(しょうようきん):小腰筋は、背骨と骨盤を結ぶインナーマッスル(深層筋)の一つで、大腰筋の前方に位置する細い筋肉です。ただし、大腰筋より発達が小さく、存在しない人もいるため、小腰筋だけが担う特有の機能は限定的とされています。

他、腹筋は横隔膜とともに背骨を支える働きがあるので、腹筋の筋力が低下し、正しい姿勢が保ちにくくなると、腰椎に負担をかけることになります。

さらに骨盤の筋肉(骨盤底筋など)は姿勢を保つのに大きく関与しています。これらの筋力の低下が、腰痛の要因となります。

■スマホやパソコンの長時間使用

前かがみの猫背姿勢になりやすく、腰や首に過度な負担がかかる。


■加齢と疾患

椎間板の劣化や、年齢を重ねたことによる腰部脊柱管狭窄症、骨粗しょう症による圧迫骨折なども原因になる。

■過剰なストレス

精神的な負担による血行不良や脳の働き低下。

腰痛のタイプ

腰痛は、原因を画像検査で特定できるかどうかにより、「非特異的腰痛」と「特異的腰痛」に分けられます。

「非特異的腰痛」は、全体の約85%を占め、レントゲンやMRIでも明確な異常が見つからず、長時間の同じ姿勢やデスクワーク、運動不足、ストレスなど複数の要因が重なって生じます。

「特異的腰痛」は約15%になり、原因が明確で、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、骨粗鬆症による圧迫骨折、内臓・血管(尿路結石、腎盂腎炎、子宮内膜症、大動脈瘤)など腰以外の臓器の病気などが含まれます。

痛みが出たら冷やす?温める?

■炎症がある場合は、冷やしその後、温める 

腰に急な痛みが生じた直後や患部に熱感がある場合は、炎症を抑えるため、冷却パックやエアゾール剤、冷却タイプのハップ剤などで腰を冷やします。

一方、炎症が落ち着いた後は、血行を改善して回復を促すため、ホットパックや使い捨てカイロで温めたり、ぬるめのお湯にゆっくりつかったりする方法が効果的です。

日頃からできる腰痛の予防

■姿勢に気を付ける

■腹筋と背筋を鍛える

■靴の選び方やバッグの持ち方に注意する

■重いものを力任せに持ち上げない

我慢できない腰痛

痛みが良くならない・強くなる、足のしびれがある、発熱を伴う、急に腰や背中に激痛が起こるなど、早急な治療が必要になる腰痛もまれにあります。

異常を感じた場合は整形外科などで早めに診察を受けましょう。

また、長引く腰痛は内科、婦人科、泌尿器科などの疾患が隠れている可能性があります。一度、主治医に相談するようにしましょう。

鍼灸院での施術

鍼(はり)治療は、筋肉の緊張緩和や血流改善、エンドルフィンなどの鎮痛物質の分泌を促すことで、慢性的な腰痛の軽減に高い効果が期待できます。※米国内科学会のガイドラインでも薬を使わない保存療法として推奨されています。

鍼灸治療の効果が期待できるのは、長時間のデスクワークや疲労による筋肉性の慢性腰痛などで、

椎間板の損傷や重度のヘルニア、脊柱管狭窄症、内臓疾患やがんの骨転移などが原因の痛みには不向きで、根本治療にはなりません。こちらは早急な医療機関の受診をお勧めします。