眼精疲労と疲れ目

日常的にパソコンやスマートフォンを使用するようになった現代においては、多くの人が目の違和感を覚えることが増えました。眼精疲労や目の疲れには大きな病気が潜んでいる場合もありますので注意が必要です。

ここでは眼精疲労の原因や症状について考えていきます。

眼精疲労と疲れ目の違い

目の疲れを感じる人は多くいますが、ほとんどの目の疲れは一時的なもので、休息や睡眠によって回復します。このように自然に回復するものは「疲れ目」と呼ばれ、身体への影響はほとんどありません。

一方で、休息しても回復をしない場合があり、この状態を「眼精疲労」といいます。様々な症状が慢性的に続き、⽬の疲れをきっかけに、心身共に不調を引起こすことがあります。

眼精疲労の原因

・目の酷使:パソコンやスマートフォンなどを長時間使用する。

・度のあわないメガネ・コンタクトを使っている。

・老眼の初期に目に負担のある細かい作業を長時間行う。

・ドライアイ:目の表面の涙の量が減ったり、涙の質が変わることによって眼球の表面をうるおす力が不足する状態。中年女性に多く、日本では約800万~2,200万人もの患者がいるといわれ、年々増加傾向が続いています。

・緑内障:視神経に障害が起こることで見えない場所(暗点)が出現する、あるいは見える範囲(視野)が狭くなる病気。

・白内障:レンズの役割を果たす水晶体が白く濁ってきて、視力の低下、ぼやけ、かすみなどが生じる。

・眼瞼下垂(がんけんかすい)

まぶたが下がってきて見にくくなる病態。いつも眠たそうに見えたり、 肩こりや頭痛の原因になることもある。先天性と後天性のものがあり、先天性は上眼瞼挙筋の働きがうまれながら不良なことが多く見られる。後天性のものは、加齢などで上まぶたを上げる筋肉の力が弱くなったり、コンタクトレンズを長期装用したりすることによるものが多いが、ほかにも重症筋無力症、脳梗塞、脳動脈瘤、脳腫瘍、動眼神経麻痺といった重篤な病気によっても生じます。

・眼瞼(がんけん)けいれん

まぶたがピクピクする病気だとイメージされがちですが、実際は、瞬きが多くなったり、目を開けているのが辛くなる症状のほか、頻繁に起こる強い眩しさ、眼痛、疲労感、乾燥感を伴う。加齢性の眼瞼下垂やドライアイなどと診断されがちですが、その治療では改善しません。

眼精疲労の症状

目の症状

・目の疲れや目の奥の痛みがある。
・目やまぶたが重かったり腫れぼったさがある。
・目のかすみ・まぶしさ・充血などがある。
・目がぼやける (視力低下を含む)。

ドライアイ
目がかわく・目がかすむ・まぶし・目が疲れる・目が痛い・目がゴロゴロする・目が赤い・涙が出る・目ヤニがでるなど

眼瞼下垂(がんけんかすい)
まぶたが下がってきて見えにくくなる

眼瞼(がんけん)けいれん
まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾く感じなど感覚過敏がある。さらに抑うつ、不安、不眠など精神症状を持つ人も半数近くあり、うつ病などと間違えられることもある。

その他の身体に現れる症状

・目を使いすぎると吐き気がする。
・首や肩がこる。
・全身がだるく疲労感がある。
・頭痛を感じる。
・めまい
・イライラ感、抑うつ感
・不眠

眼精疲労の対策

医療機関を受診

症状が重かったり長引いたりする場合は、眼科を受診しましょう。緑内障、白内障などの目の病気、脳神経疾患など全身の病気が隠れている場合もあります。

老眼、メガネやコンタクトレンズの度が合っていないと思われる場合は、眼科で検査を受け、適切に矯正しましょう。

セルフケア

目の使い過ぎ、軽度の目の乾燥などによる眼精疲労はセルフケアでも対応できます。

・ビタミンBやEなど、目のはたらきを維持するのに欠かせない栄養素を積極的に摂る。
・マッサージやツボ押しなどで目の周りの筋肉をほぐす。(ツボは図を参照に。気持ち良い範囲で強く押さないように注意しましょう)
・目が乾くときはコンタクトレンズをやめてメガネをかけるようにする。
・作業環境を見直し、目を疲れさせないように改善する。
・蒸しタオルで目を温める。

眼の健康を助ける食材(ビタミン)

■「ビタミンB1:視神経の働きを高めて視力の低下を防いだり、眼から脳に通じる神経の伝達をスムーズに保ち、眼の周辺の筋肉を和らげてくれる。

豚肉、サバ、玄米、レンコン、大豆、えんどう豆、きな粉、グリーンピース、豚肉、うなぎ、たらこ、玄米、ごま、かき、ピーナッツなどに含まれる。

ビタミンB6:脂質の代謝をサポートする。目の調節機能をつかさどる水晶体と、毛様体筋の主成分であるたんぱく質の吸収に不可欠。

大豆や牛乳、サケ、サバ、レバー(牛・鶏)、かつお、マグロ、バナナ、さつま芋などに含まれる。

ビタミンB12:視神経の働きを高めて視力の低下を防ぐ役割をする。

豚肉やサバ、玄米、赤貝、あさり、牡蠣、レバー(牛・鶏)、わかさぎ、ます、さけ、マグロ、かきなど、主に魚介類に多く含まれる。

ビタミンC:水晶体の酸化防止・透明度を保つ働きを持ち、白内障の予防に効果的といわれている。

赤ピーマン、芽キャベツ、レモン、アセロラ、ゆず、キウイ、オレンジ、ブロッコリー、小松菜、キャベツ、さつまいも、いちご、キウイなど、主に野菜や果物に多く含まれる。

ビタミンE:血行を促進し眼の老化を防止するとされており、主に疲れ目やドライアイ、老眼への効果が期待できる。

かぼちゃ、アーモンド、うなぎ、子持ちカレイ、キングサーモン、ツナ油漬け、植物オイル、ほうれん草などに含まれる。

眼精疲労の予防

パソコンの使用時に工夫をする

・長時間の使用を避ける。
・長時間使用をする場合は、一定時間ごとに休憩を取る。休憩が取れない場合は遠くを見る時間を作る。
・目の位置を画面から40cm位離れるようにして座り、前かがみにならないよう姿勢を正しくする。


目の乾燥に気をつける

・まばたきの回数を増やし、眼が乾燥しないように気をつける。
・加湿器をおくなどして、部屋の乾燥を防ぐ。
・エアコンの風に直接当たらないようにする。

鍼灸と眼精疲労

目が疲れているときは血液の循環が悪くなっている上に眼球を動かす筋肉が使われ続けているので、あまり上下左右に眼球が動かず、眼球の動きが鈍くなっている傾向があります。

鍼灸治療による疲れ目・眼精疲労の施術は、目の周りやこめかみ、頭皮、後頭下部や首、肩の筋肉の硬さを取り除き血流を回復させていきます。