梅雨の不調

2025年6月13日 2025年6月13日

今年は遅い梅雨入りとなりました。

ジメジメした雨模様の日と猛暑日が繰り返しやってきて健康への影響が気になります。

特に、高い湿度や冷えで身体の不調が現れやすくなる季節でもあります。

東洋医学では、人は季節により、風（ふう）、寒（かん）、暑（しょ）、湿（しつ）、燥（そう）、火（か）という６つの気候の変化（六気）を受けると考えられ、この六気が身体の体調の不調を引き起こす場合、それぞれ、風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪（熱邪）と呼びます。

このうち梅雨の時期に「湿邪」によって余分な水が体のいろいろな部位にとどまることでさまざまな症状を引き起こすことを「水滞（水毒）」といいます。

湿邪が五臓六腑の脾（胃腸系統）に悪影響を及ぼすと、痰湿と呼ばれる余分な水分が溜まります。そうして血流が悪くなるので身体の様々なところで不調がおこるのです。

体質的に「水滞（水毒）」の傾向があると、湿邪によってさらにその傾向が強まり、症状が悪化することが多いので、注意が必要です。

東洋医学では「気・血・水（き・けつ・すい）」が体内をめぐることによって、体が正常に機能すると考えます。気は元気の気（エネルギー）、血は血液、水は体液です。この水が必要以上に体内に溜まって悪さをすることを「水滞（水毒）」と考えます。

梅雨の湿気の影響を受けやすい体質として、代謝が悪く浮腫がちな人、もともと胃腸が弱い人、冷え症の人は水分を身体に溜めやすく、湿気の影響をより受けやすいと考えられています。

水毒は食生活をはじめとする生活習慣を見直すことで改善できます。また、水毒を改善することで、気と血のめぐりも相乗的によくなります。

水毒による梅雨時の不調は身体の様々なところに現れます。

主な症状
頭痛、頭重感、めまい、頻尿・膀胱炎、手足の冷え・むくみや重だるさ、神経痛、関節痛の再発など

中でも胃腸などの消化器（東洋医学では「脾」といいます）はもっとも「湿邪」におかされやすく、ここに「水」が滞った場合には、胃もたれや食欲不振、吐き気、下痢などの消化器症状がみられます。消化の力が弱まると、疲れやすくなったり身体がだるくなったりします。

胸のあたりで滞っている場合は、水様鼻汁や痰、咳、喘鳴（呼吸をするときに、ヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がすること）などがみられます。また、関節に「水」が滞り、関節の痛みやこわばりなどがみられる場合もあります。

また、身体だけでなく、湿気は心にも影響を与えることがあり、気分がのらなかったり、イライラしたり落ち込みやすくなる傾向があります。

適度に身体を動かすことが大事です。筋肉（とくに下半身の筋肉）が少ないと、筋肉がポンプのように働いて体内で水分や血流を循環させる力が落ちてしまうため、水毒の原因になります。

本格的な運動が難しい場合は、日常の中で階段を使ったり、一つ手前の駅で下車して歩くなど、できる範囲で身体を動かすようにしましょう。また、夏でもお風呂につかって身体を温めることも効果的です。

水分は一度にたくさんとらず、少量ずつこまめに摂ることが大切です。「湿邪」の影響を受けやすい胃腸を守るため、暴飲暴食を避けましょう。

また、エアコンの効いた室内に長時間過ごしたり、冷たい飲食物を口にすると、胃腸が冷えて働きが低下し「水」が滞ってしまいます。身体を冷やしすぎないように気を付けましょう。

「湿」の排出や「脾・胃」の働きを良くするには、お灸が特に効果的です。
施術では、背中・お腹・足の胃腸につながるツボにお灸をします。

お灸は、体を深部から温め、免疫力を高める効果があるため、体が冷えやすい方や体力が少ない方には特におすすめです。

この時期の体調不良については、人によって様々な異なる症状がありますので、鍼灸師にお気軽にご相談ください。