春になると現れる不調

2025年3月12日 2025年3月12日

四季の始まりの春。

清々しい空気と青空のもと、草木が芽吹き生物の活動が活発になる頃です。

新しいことが始まる季節でもあり、忙しさや環境の変化がストレスとなり、心と体のバランスが崩れ心身ともに不調を感じやすくなります。

※東洋医学の「風邪＝ふうじゃ」は、六淫（ろくいん）と呼ばれる病気の原因のうちの一つで、体内を縦横無尽に走り回る性質を持っている邪気のことをいいます。特に体の上部（あたまなど）に影響を及ぼし、頭痛やめまいなど上半身の症状と密接な関係があります。

※「肝」は、五臓の一つで、「気」（エネルギー）や「栄養」を全身に運び、自律神経や情緒を安定させ、血液を浄化・貯蔵する機能を指します。

「風邪（ふうじゃ）」は自然界に一年中存在しますが、春に一番活発になると考えられています。風邪の影響によって体に毒素が蓄積され、それらを解毒する「肝」に負担がかかります。

肝が疲弊すると身体に様々な不調が現れます。

肝の疲弊で貯蔵されている「血」が不足すると、精神的に不安定になり、イライラや不眠、気持ちの揺らぎなどが生じます。また、血のめぐりが滞ることで肩こりや筋がつりやすくなったりします。

暖かくなるにつれ、「血」が体の上部に停滞しやすいので、頭痛や鼻詰まり、めまいやふらつきなどの「上半身の症状」が出やすくなるのもこの季節の特徴のひとつです。

花粉症の症状の中でも、目の充血やかゆみ、鼻詰まり、喉の炎症など体の上部に「血」が停滞することで起きる症状は、この「肝」の乱れに由来するものとされています。

また、「肝」の解毒機能がうまくいかなくなると、体内に余分な老廃物などが蓄積されて、強い倦怠感があり、重だるい疲労感を感じやすくなる場合もあります。

不調を改善する方法としては、春の旬の食べ物（春菊やたけのこ、さくらんぼ、セロリ、菜の花、ごぼう、アスパラガス、小松菜など）を積極的に食べることがお勧めです。

春の旬の食べ物には肝の働きを改善させ、滞りやすい気血を巡らせる力のあるものが多いからです。

肝の働きを整えるには「酸味」も有効です。「酸味」は、春に乱れやすい「肝」の働きを正常に戻して「肝」の疲弊を労うのに役立ちます。酢や柑橘系の果物、梅干しなども合わせて摂るとより有効です。

また、「血」を補うためには、ほうれん草やナツメ、アサリ、牡蠣などの食材もおすすめです。

ストレスが溜まると、自律神経の調節機能も持つ「肝」の機能が低下します。こまめにストレスを発散させて「肝」にかかる負担を減らすことを心がけましょう。

散歩や軽い運動、旅行や読書、映画鑑賞など自分の好きなことをしてストレスをためないようにしましょう。

また、アロマなど心地よい香りでリラックスして、肝の高ぶりを鎮めるのもよいでしょう。

肝を活発にするツボを刺激するのも不調の改善に有効です。

三陰交（さんいんこう）：すねの内側、足首から指4本分上に位置するツボ

風池（ふうち）：うなじにある筋肉の外側、髪の毛の付け根あたりにあるツボ

太衝（たいしょう）：足の親指と人差し指の骨の間が交わる所の手前のくぼみ

自分でツボ押しをするのも良いですが、鍼灸施術でリラックスした時間を過ごすのもおすすめです。