秋の不調と乾燥
乾燥の季節
秋が深まると大気の乾燥が強くなっていきます。
東洋医学では乾燥を引き起こす邪気「燥邪(そうじゃ)」が、身体のうるおいを奪っていき、邪気に触れる呼吸器系や皮膚、髪にトラブルが起きやすくなると言われています。この燥邪は、おもに口と鼻から侵入して、肺にダメージを与えて体液を消耗させます。
本来、肺は陽の気であふれ、みずみずしく潤った状態を好む臓器なので大気の乾燥は天敵なのです。
燥邪の影響を受けると、特に呼吸器疾患(喘息、気管支炎など)の悪化や、皮膚や粘膜に対する乾燥による炎症や感染症などの症状が現れやすくなります。
乾燥は部分的だけでなく、身体全体が水分代謝の低下した状態になるので、腸(便秘がち)にも影響が出るようになります。
※東洋医学でいう「風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪」は、身体に悪影響を与える気候変化のことで6種類あり、六邪(ろくじゃ)と呼ばれています。
燥邪は、燥(そう)が邪気に転化したもので、「強い乾燥」を示します。身体に侵入すると身体が乾き、皮膚や髪の潤いが不足し、免役力の低下に繋がります。
乾燥と不調
空気の乾燥によるトラブルは様々です。
乾燥肌、肌のかゆみや赤み
乾燥による便秘
乾いた咳、喘息の悪化、気管支炎、感染症
ドライアイ
口の渇き
尿量が少なく濃いなど
乾燥を防ぐ
秋に現れる肺や呼吸器へのダメージの源となる乾燥、これに上手く対応すれば、心地よく秋を過ごせ寒い冬に向かって体を整えていくことができます。
■体温調節
10月半ばになっても気温の高い日が続き、外出時には乗り物や店内も冷房が効いているところがほとんどですが、場所によっては暑かったり寒かったりと過ごしにくいことがあります。
また、季節が進むと、朝晩の気温差も大きくなり体温調節に多量のエネルギーが消耗されます。
その繰り返しで、免疫力が低下し体調を崩しやすくなるので身体を冷やさないように心がけましょう。
外出時には、1枚上に羽織れる上着を持っていくとよいでしょう。
冷え防止だけでなく乾燥による皮膚のダメージもある程度防ぐことができます。
■肺を守る
肺や呼吸器へのダメージを防ぐために室内は加湿器などを用いて湿度の調整を行いましょう。
また、外出時のマスクや帰宅後のうがいをマメに行い潤いを与えましょう。
また、涼しくなってもこまめに水分補給をまめに行い乾燥を防ぎましょう。
■旬の食材で身体を内側から潤す
実りの秋と言われる季節は栄養豊富な美味しいものが沢山出回ります。
栗・クルミ・銀杏・大根・ネギ・白いきくらげ・梨・カボチャ・さつま芋など、など・・・
旬の食材にはその季節に適した栄養分が含まれていて身体を潤す効果があります。
栗やクルミや銀杏などは、植物性の油分が体内の乾燥を防ぐ効果があります。
大根や長ネギに含まれるビタミンCは免疫機能を強化し、風邪や感染症に対する抵抗力を高めるため風邪や呼吸器のダメージへの予防に効果的です。
白いキクラゲ、梨などの白い食材は体に潤いを与え、乾燥から体を守る効果があります。
また、カボチャは体を温める効果があり
さつま芋は気を補って胃を元気にして便秘の解消にもつながります。
積極的に旬の食材を上手に取り入れましょう。
■気力を補う
気候の変化による消耗でさらに体力が落ち、それに加えて気力も落ちています。
これは日照時間の減少や気温の低下などにより起こるとされていますが、気持ちをおおらかにしてリラックスできる時間を作ってみてはいかがでしょうか。
趣味のショッピング、読書、スポーツ、映画鑑賞、旅行など自分にあったリラックスタイムを過ごしてみましょう。
鍼灸で体を潤す
■肺経の流れを整える「中府」のツボ
肺経とは 肺の動きを司る経絡(気や血の流れる通路)のことです。
※肺経の役割
・外からの邪気(冷熱など)から身体を守る
・体温を一定レベルに保つ
・体内の水分の蒸発を防ぐ
中布のツボ
※中布:「府」とは経気が集まり、神気の集まるところをさしています。このツボは、胸中(肺)の神気が集結しているところから、「中府」と命名されました。
秋に「中府」のツボを鍼灸で刺激することにより、呼吸器系全体をサポートし、風邪予防や乾燥対策を行うことができます。
「中府」は、鎖骨のすぐ下、胸部の上部に位置しており、このツボを刺激することで、呼吸が楽になり、気の流れが改善され、喉や肌の乾燥を和らげる効果が期待されます。
また、鍼灸は「気」や「血」の流れを整え、免疫力を高める効果もあるため、秋の不調を未然に防ぎ、季節の変わり目を健やかに過ごせるようにサポートします。
リラックス効果も期待できますので是非お試しください。