熱中症に気をつけましょう
以前、「熱中症と鍼灸」でも熱中症の症状や対策、予防についてお知らせしましたが
関東地方では、雨の日が少ないまま梅雨開けが宣言されました。
これから再び猛暑日が続き体調に気をつけていても健康な状態を保つのが難しい環境です。
特に、熱中症で救急搬送される人が急激に増えていると繰り返しニュースで報道されています。
暑熱順化
暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。
暑い日が続くと、体は次第に暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
本来であれば、本格的な夏の到来前の梅雨辺りから身体は徐々に暑さに慣れていくのですが、
今年は、異常気象の影響で、身体が暑さに慣れる前に高温の日が続いています。
それによって熱中症にかかる人が急増しています。
人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上昇します。
体温が上がった時は、汗をかくこと(発汗)による気化熱や、心拍数の上昇や皮膚血管拡張によって体の表面から空気中に熱を逃がす熱放散で、体温を調節しています。
この体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって体温が上昇し、熱中症が引き起こされます。
暑熱順化できていると、汗腺の発達や血流量の増加、体温調節機能の向上など、さまざまな効果が期待できます。
暑熱順化には、個人差がありますが数日から約2週間かかると言われています。
ただし、暑さから離れると元に戻ってしまいますので、身の回りでできることを続けていくようにしましょう。
暑熱順化の対策
体を暑さに慣れさせるために日常的にできることを探してみましょう。
外でのジョギングやウォーキングはこの時期は注意が必要です。朝晩の涼しい時間がおすすめですが、できれば室内でできる運動をおすすめします。
■筋トレやストレッチなど適度に汗をかく運動
30分程度を週5日から毎日が目安です。生活の一部になるように続けていきましょう。
■入浴
暑い時期はどうしてもシャワーだけになりがちですが、できれば毎日か2日に一度は湯船に使って発汗させましょう。ただし、汗をかきすぎて脱水症状にならないように長湯は控えましょう。
また、無理な運動はかえって体調を崩すもとになります。
エスカレーターを使わずに階段を利用したり、家に帰るときに遠回りしたりとできる範囲で体を動かすことを続けていくようにしましょう。
因みに、NHKテレビで一日に2回「みんなの体操」を放映しています。解説付きで無理のない運動が手軽にできますのでそちらも試してみてはいかがでしょう。
そして、運動や入浴のあとは、必ず水分補給を忘れないようにしましょう。
コーヒーや緑茶などのカフェインが多く含まれている飲み物やアルコールは利尿作用があるため、水や麦茶がおすすめです。
暑熱順化の効果
暑熱順化ができるようになると、暑さに強くなり熱中症予防効果が高まります、同時に、筋肉の強化や基礎代謝の向上効果にも繋がります。
また、運動をすると、「セロトニン」が生成されて幸福感が増大します。
■セロトニンとは:
脳内に存在する神経伝達物質の一種です。必須アミノ酸であるトリプトファンからつくられ、おもに大脳基底核や延髄の縫線核、視床下部などに存在しています。
セロトニンには、恐怖に影響する神経伝達物質のノルアドレナリンや快楽に関連する神経伝達物質のドパミンなどを制御し、精神状態を安定にする働きがあります。
■セロトニンの効果:
セロトニンには、怒りや焦りなどのマイナスな感情を抑制し、精神を安定させる効果があります。精神が安定して幸福感を得やすくなることで、食べ過ぎの抑制効果も期待できます。
こういった作用を持つことから、幸せホルモンとも呼ばれているのです。
また、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の材料になるセロトニンは、睡眠にも影響します。セロトニンが日中に活発に働くと、快眠を得られやすくなります。
セロトニンは、運動をすることの他に朝日を浴びることで分泌されます。起床したらカーテンを開けてしっかり日差しを浴びて脳を起こしましょう。
暑さで寝苦しい日が続き睡眠不足の方も多いのではないでしょうか。是非お試しください。
体調を整える鍼灸
熱中症による体調不良やそれ以外の体の不調の改善に鍼灸は効果が期待できます。
鍼灸療法は体のバランスを整えることや血液循環を促進することで、熱中症の症状の緩和に効果的であることは多くの鍼灸師は経験しています。
当院では、患者様一人ひとり症状が異なることが多いので、現在の症状をよくお聞きして施術を行います。
鍼灸施術は、血液循環を促進し、栄養を体の隅々まで運び、体の中の老廃物や余分な水を排出し不調の回復に効果がみられます。
また、内臓の働きを調節する自律神経を整え、身体の持つ恒常性維持機能を高める働きもありますので、体調を整え不調の改善に期待ができます。