肩こりと鍼灸

多くの人が悩む肩こり

国民病ともいわれている肩こり。現代人の生活は、長時間のデスクワーク、パソコンやスマホの使いすぎなどにより、首や肩に大きな負担をかけています。たかが肩こりと軽んじているとコリが痛みへ変わって、つらい症状に悩まされることもあります。放っておくと、頭痛や吐き気、めまいといった全身の不調につながる可能性もあるので、早めの対処が必要です。

日本人は肩こりになりやすい?

日本人は、欧米人に比べると骨格や筋肉の違いで肩こりになりやすいといわれています。日本人は、頭が大きいわりに、首から肩にかけての骨格や筋肉がきゃしゃにできています。特に、中年期以降になると骨量や筋肉が衰えて、肩こりが加速する可能性も考えられます。そうなる前に、首まわりの筋肉をしっかり鍛えることが大切です。

肩こりはどのようにして起こる?

肩こりは、正式な病名ではなく、首の後ろから肩、背中にかけての不快な症状の総称です。首や肩の関節は、からだの中で最も可動域が大きく、また重たい頭部と腕を支えているため、常に緊張を強いられています。肩こりが起こるのは、首まわりが「筋肉疲労」でこわばって硬くなり、筋肉にある血管が収縮して「血行不良」を招くからです。血行が悪くなると、肩の筋肉にたまった疲労物質や痛み物質がうまく排出されず、神経を刺激して、コリや痛みが生じると考えられています。

肩こりの原因と予防

肩こりを招く「筋肉疲労」と「血行不良」には様々な原因があります。

長時間に渡る同じ姿勢
長時間のデスクワークや、パソコン作業、スマホ操作など、同じ姿勢を続けていると、首や肩の負担が増え頭の重みで筋肉が凝り固まり、肩こりにつながります。特に、パソコンやスマホを使う際に、首が前に出た姿勢をしないように気をつけましょう。スマホを扱うときは、目線と同じ高さまで引き上げるようにしましょう。

眼精疲労
眼精疲労の症状として、肩こりが起こる場合があります。現代人は目を酷使しがちです。パソコンやスマホを操作するときは、1時間に1回は目を休ませるようにしましょう。

運動不足
運動をしないと筋肉が衰えて、肩の負担が大きくなります。また、筋肉の緊張状態が続いて、血流の悪化を招くため、肩こりが起こりやすくなります。適度な運動を続けるよう心がけましょう。

ストレス
肩こりはストレスとも関係しています。過剰なストレスにさらされていると、自律神経が乱れて、筋肉の緊張や血行不良が生じます。運動したり趣味を活用してストレスを溜めないようにしましょう。

病気が潜んでいる場合

貧血、低血圧、高血圧などの症状があるときは肩こりを起こしやすくなります。また、狭心症や心筋梗塞、胃潰瘍などが原因になっていることもあります。違和感を感じたら診療期間を受診しましょう。

他にも、姿勢の良くない人(猫背・前かがみ)、なで肩の人、同じ肩側にバッグを掛ける、冷えなども肩こりの原因になりますので正しい姿勢を保ち、体を冷やさないように気をつけましょう。

肩こりに関連する筋肉

首の周辺には、さまざまな筋肉が存在しています。

肩こりに関連のある筋肉には次のようなものがあります。

僧帽筋(そうぼうきん)

首から背中にかけての筋肉で、肩こりに大きく関わっています。僧帽筋に問題があると、肩をすくめたときに痛みが起こります。

胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)

首の側面にある大きな筋肉で、鎖骨や胸骨につながっていることから名付けられました。首を曲げたり、回したりするときに使います。胸鎖乳突筋が凝り固まっていると、首を前に傾け辛くなります。

肩甲挙筋(けんこうきょきん)
首と肩甲骨をつなぐ筋肉です。僧帽筋とともに、肩をすくめるときに働きます。首筋下から肩にかけてコリや痛みがある場合、肩甲挙筋が硬くなっている可能性があります。

頭板状筋(とうばんじょうきん)

首の後方にある筋肉で、首を伸ばすときに使います。「首を後ろにそらすと痛い」という場合は、板状筋のコリが関与しています。

肩こりの症状

首すじ、首のつけ根から、肩または背中にかけて張り、凝り、痛み、硬い、重いなどの症状がでます。

これが酷くなると頭痛や吐き気、めまい、目の疲れ、倦怠感、腕や手のしびれを伴うこともあります。

肩こりと鍼灸効果

鍼は、東洋医学において国際的にも認められている治療方法です。鍼の治療効果についての研究が進む中で、少しずつ科学的根拠も示されていて、WHO(世界保健機関)でも認められています。

筋肉疲労で筋肉が固くなると血行不良となり全身に血液や栄養が行き渡らなくなります。その状態が続くと痛みや凝りとして表れます。

鍼灸は、身体の状態に応じたツボを、直接鍼で刺激します。鍼の刺激で、滞っていた血流がスムーズになり、全身にエネルギーや酸素を送れるようになります。

全身に栄養が行き渡ると筋肉の凝りや張りが改善され、溜まった老廃物を流す効果も期待できます。身体がじんわりと温まり筋肉がほぐれるためリラックス効果もあります。

肩こりの原因は、人によってさまざまです。一人ひとりの肩こりの原因によって、刺激するツボを変えて対応できるため、さまざまな人の肩こりに効果が期待できるのも、鍼治療の大きなメリットです。

また、鍼灸治療は身体への負担が少なく安全で痛みもほぼ感じないため、痛みに弱いかたや高齢者の方でも、無理なく施術を受けることができます。

酷い肩こりは、効果が出るのに時間がかかる場合もありますが、継続的に施術を受けることで改善が期待できます。

当院では鍼灸師の国家資格を持った女性院長が施術を行います。